天下無賊 大連よりイノセントワールド21話

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2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」

<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う顔に刀傷のある謎の男。



「天下無賊 21話~イノセントワールド」自由訳


こそ泥が愚根の袋に手を伸ばして霞め取ろうとした時、王薄は、すかさずその手をつかんでねじ上げた。
こそ泥は、慌てておずおずと逃げて行った。それは、自分より上手に出くわしたと分かったからだ。


愚根は、男の手を引っ張るのを見て、あんたたちは知り合いかいと、王薄に尋ねた。


「ああ、知り合いさ」


「なら、何で、話をしないんだ」


「やつは口が利けないから、手話で話をしたのさ」それを聞いた王麗は、口を押さえて笑ったが、愚根は、それをすっかり真に受けていた。


王麗が買ったのは、寝台車の切符だった。


生まれて初めて寝台車に乗った愚根は、何もかもが珍しく、あっちこっちを触り、「本当にたいしたもんだ、列車にベットまでついている」としきりに感心した。


そして、ぴょんぴよんと飛び跳ねて、上に上がり、自分は上段で寝ると言った。そして、王麗が中段で、王薄が下段に寝ることになった。


荷物も片付け、三人は、暫く下段で食べたり飲んだりして暫く過ごした。そのうち愚根がもう寝ると言い出した。


王麗は「もう寝なさい、ひと寝入りすると鄭州に着くから」と言った。愚根は、上段に這い上がり、横になるとすぐに眠ってしまった。


王麗は、ほっと一息つくと王薄と話し始めた。


「ありがとう」


「何でありがとう、なんていうんだ」


「だって、このことは、もともとあんたと関係ないことだもの」


「お前にだって関係ないことだろ」


「でも私が背負い込んだことだもの」


「お前の、俺のと分ける必要は無いさ、お前のことは俺のことでもあるだろう」


鄭州に着いたら、私たち本当にわかれましょう」


「お前はどこに行くつもりだ」


「まず、侠西のふるさとに帰って弟に会うわ。」


「私は5年もあの子に会ってないのよ」


「それから」「それからのことはまた考えるわ。何か仕事でも探してみるわ」王薄は、王麗の手を引いて軽くたたくと、なにも言わなかった。こうして2人は、手を取り合い身じろぎもせず感傷に浸っていた。


突然、王麗は、火に触って火傷でもしたかのように手を引っ込め、指を指した。王薄が振り返って見ると、なんと一度は姿を消した、あの刀傷の男が、窓のところに立っているのだ。


王薄は思わずぎくっとした。あいつは、どこから現れたのだ。2人は緊張した。


22話へ続く