天下無賊 大連よりイノセントワールド20話

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2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」

<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う顔に刀傷のある謎の男。



「天下無賊 20話~イノセントワールド」自由訳


王薄と王麗は、北京で降りることに決めた。彼は、北京美術館に絵画を見に行きたいと思っていた。
数年もの間、絵の世界から離れていたので、この世界に、どんな変化があったのか知りたかったのだ。今はもう刀傷の男もいない。


愚根が大金を持っていることを知っているものは居なくなった。彼一人で帰っても安心だ。暫くして、王麗が切符を握り締めて戻って来た。丸い顔は汗だらけで、髪はぼさぼさになっている。


王薄は強盗にでも会ったのかと冷やかした。


「あんたがのんびりしている時、」「私は、切符を買うとき、押しつぶされて死にそうになったわ」


「さあ、早く乗らなきゃ、列車がでるわ」と言った。


そして、愚根を引っ張って、プラットホームへ駆け出し、王薄に向って言った。


「何、ぼおっとしてるのよ、さあ、急いで」


「何だって、」


「列車に乗って、鄭州に行くのよ」


「俺たちは、北京で降りるんじゃないのか」


「私、切符を三枚買ったわ、」「ここまで来たんだから、」


「いっそのこと、この子を家まで送って行こうよ」


「お前、気でも狂ったのか」


「狂ってなんかいないわ、」「あんたが行かないならもういい、私一人で行くから」王麗はこう言って、愚根を引っ張って歩き出した。


見る見る内に、駅の中の人ごみに消えていく彼らを見ると、王薄は突然「待ってくれ」と叫んで、自分の鞄をつかんで追いかけて行った。


王薄には、自分が王麗を思いとどまらせることなど、出来ないと分かっていた。三人が列車に乗り込んで、席を探していると、一人のこそ泥が、じっとこっちを見ていた。


21話に続く