天下無賊 大連よりイノセントワールド19話

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2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」

<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う顔に刀傷のある謎の男。



「天下無賊 19話~イノセントワールド」自由訳


この二、三日刀傷の男は、何も気に止めていないように見えた。そして暇を見ては居眠りをする。ずっと起きていることは出来ないようだった。


しかし、愚根がうごくとぱっと目を覚ました。彼は、慌てて愚根の後をついていくようなことはしなかったが、愚根が何か買い物で列車を下りた時も、トイレに行こうとした時も、愚根をずっと自分の視野に入れていた。


さっき列車の外で起きたことの一部始終も、刀傷の男は窓から全て見ていた。しかし彼は、以前として無表情に、タバコを取り出して、また吸い始めた。


この日の夕方、列車は北京駅に着いた。


愚根は列車を乗り換えて、鄭州に行こうとしていた。王麗は、親切に切符を買うのを手伝ってやろうとしていた。愚根は、王麗たちとすっかり知り合いになっていた。


「ねいさん、面倒を掛けてすまないね」


「やたら、動きまわらないでね」


「ここを動いてはダメだからね」


王麗は、王薄に向って、「あんた、この子のことをちゃんと見ててよ。」

「私は切符を買ってくるから」というとあわただしく行ってしまった。


愚根は、目がいくつあっても足らないように、きょろきょろと、あちこちを見ている。誰かが集まって話をしていると、聞きに行き、誰かが、プラカード持って人を出迎えていれば、そのプラカードを触ってみたりしている。


王薄は、彼を引っ張って連れ戻し、「やたら、動き回るな、迷子になるぞ」といった。


愚根は、ただ笑って立ち止まったが、すぐに相変わらず、あっちこっちを見回っていた。


王薄は、愚根を見張りながら、自分もあちこちを見渡していた。何度見渡しても、あの刀傷の男は見当たらない。


王薄は心の中で、しめたと思った。あいつは手出しできず、諦めたに違いない。


20話へ続く