天下無賊 大連よりイノセントワールド18話

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2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」

<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う顔に刀傷のある謎の男。



「天下無賊 18話~イノセントワールド」自由訳


王麗と王薄の間には暗黙の約束が出来ていた。二人は交代で眠り、愚根がトイレにいったり、列車を下りて何かを買いに行ったりするときは、必ずどちらかが一緒についていった。


愚根は彼らの監視下に置かれていた。一度愚根は列車から降りて、食べものを買いにいった。ワゴンの上には、弁当やお菓子等が置かれていて、沢山の人で溢れていた。


愚根は袋から金を取り出して、弁当を買おうとしたその時、袋の中に一つの手が伸びた、愚根は全く気付かなかったが、王麗はその泥棒を見逃さなかった。


その男が金を盗んで立ち去ろうとするのを見て、王麗の身体がぐらっとよろめいて、その男の身体に倒れ掛かった。そしてあっと言う間に、男のズボンのポケットから金を抜き取った。


愚根が焼き鳥を買って戻ってくると、王麗は、愚根に近寄ってこう言った。


「あんた、あんた服の前を開けっ放しにして寒くないの、」そして、服のボタンをとめて、すそを直してやり、愚根の布袋の中に、こっそりと取り戻した金を入れてやった。


愚根は、ずっと突っ立ったまま言いなりだったが、心は、感激で涙が溢れてきそうだった。


故郷を離れて以来、自分のためにこうして、身なりを整えてくれる女など、何年も居なかったのだ。


愚根は熱い思いをこめて、「ねえさん、あんたはほんとうにいい人だな」と言った。


「早く列車に乗りなさいよ」


「もう列車がでるよ」王麗はこう言いながら、列車に走っていく愚根を見て、涙が出そうになった。


「ねえさん」という言葉が、彼女の心に熱い血を湧きあがらせたのだった。


19話へ続く