天下無賊 大連よりイノセントワールド16話

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2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」

<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う顔に刀傷のある謎の男。


「天下無賊 16話~イノセントワールド」自由訳


夜はすっかり深まり、その車両の乗客はみな眠り始めた。通路の人さえも眠り始めた。


時折、こっくりして、頭を窓にぶっつけてびっくりして起きる者や、眠ろうとせず、相変わらず愚根の方を注意深く見ている者もいる。彼らはのんきな旅行者で、何かが起こるのを待っているのだ。


王麗は既に眠っている。頭を、愚根の広い肩の上にもたれかけ可愛い猫のようだ。


愚根は、少し身体をずらそうとしたが、ちょっと動くと、王麗の頭もついてきて、身体を動かしたくとも、動けない状態になっている。


愚根は、窓に寄りかかりながら、王薄を見て小さな声で言った。


「俺たち席を替わった方がいいんじゃないか!」しかし、本当は、すこしばかり心持がよかった。


若い女が自分の肩にのっかかって、安心して眠っている。なんでもないことだが、男にとってこれほど頼られるのはうれしいことだ。


王薄は、愚根を見て笑いながら、「もう少し寝かしておいてやってくれ」と言った。その口ぶりは、主役をあんたに回してやるといいたげだった。


大変光栄な役をもらった愚根は、驚きながらも、とても嬉しそうな顔を見せたが、すぐに真剣な顔をして、改めて丁寧にしっかりと座り直した。


愚根は、彼女を起こしてしまうのではないかと心配ばかりしている。肩の半分は、既に王麗に占められている。動きたくとも動けない。


彼女の信頼を失わないように気を張って、1、2時間持ちこたえたが、次第に疲れてしまって、知らず知らずの内に、うとうととしてしまい、とうとう彼女の頭に寄り添うように寝てしまった。


17話に続く