天下無賊 大連よりイノセントワールド15話

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大連は昨日、雨が降った、とても涼しい。今日も曇り空だ、やはり9月は秋、自然を感じられる気候はいい!


2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」

<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う顔に刀傷のある謎の男。


「天下無賊 15話~イノセントワールド」自由訳


王麗は車内の濁った空気に、我慢できず吐きそうになった。はっと立ち上がり、窓の方に身を乗り出すと、愚根の身体に半分のしかかった。


愚根は、王麗のやわらかい身体を全身に感じたが、うろたえてどうすることも出来なかった。


王麗は急に「痛い!」と高い叫び声をあげて跳び上がった。


愚根の向かいに座っていた、顔に刀傷のある男が立ち上がったその時に、王麗の足をふんでしまったのだ。


「何すんのさ!」


王麗は、刀傷の男をにらみつけた。


刀傷の男は悪気なさそうな顔で小さく言った。


「すいません、うっかりして」


それを見た王薄は、ニタニタと笑っていた。王麗は、王薄向って


「あんた何を笑っているの!」


王薄は、王麗の気持ちが変わっていることに気付いていた。さっきは、足の悪い老人に、席を譲ろうとした馬鹿な愚根を止めた。そして、その老人を追い払った。


それは、あの老人がスリだと気付いたからだ。老人が悪態をついていたのもスリをするためだ。


その程度の、つまらない手口では、愚根をだませても、王麗はだまされない。王麗があの老人を、追い払ったのも、あの老人に、この車両で、事件を起こしてほしくなかったのだ。


王麗は、この馬鹿な愚根にこの世に泥棒がいる、などと知らせたくないのだ。


この世に、悪人などいないと、信じたままにしておきたかったのだ。


王薄は、王麗は時には賢いが、あるときは愚かになることを知っていた。そして、この彼女が、愚かな愚根の一言に感動して、愚根を守ってやろうとしている。


しかし、それは可能だろうか、王麗は、顔に刀傷のある男に足を踏まれた、それは王麗に、愚根の金に手出しさせないようにしたためで、間に入って邪魔をしたのだ。


いずれにせよ、目先のことに目を取られて、彼女は、刀傷の男の正体にまだ気付いていないのだ。それで王薄は、笑ってしまったのだ。


実は、王薄はとっくに、この刀傷の男が愚根にとっても、王薄にとっても、厄介な存在になると気付いていた。それが彼らにとって、どんな危険なことかは、まだ分かっていなかった。


こそ泥なのだろうか、それとも強盗なのだろうか、しかし、確かなことは、この刀傷の男の目は、愚根の金の入った袋であり、誰も近づけさせないと思っている点だった。


王薄は、心の中でお前にも、あの金には触れさせない。誰も皆、触れさせないぞと思っていた。


王麗の始めた、この奇妙な善行に、自分も協力しようと心に決めたのだ。


16話に続く