天下無賊 大連より13話~イノセントワールド
日本の夏は熱かった、外に出ると汗が吹き出た。ここ大連はとても涼しい、一息つける。地獄から極楽とはこのことだ。
2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」
<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う謎の男。
「天下無賊 13話~イノセントワールド」自由訳
この2人が盗みをするのは、金をためるのが目的ではない。金が出来ると二人はすぐに使った。
NPO慈善事業に寄付もした。ある町のNPO慈善事業主は、彼らから1万元の寄付金をもらった。
送金人欄には星と月と書いてある。
このNPO慈善事業主は、新聞に載せて奇特な星と月を探そうとした。これを見た彼らは、俺たちも善人になったものだと笑い転げた。
2人が一番好きなものは旅だ。数年間で全国の山や大河をあまねく見て回った。彼らは泥棒だが、自然の山水を愛する奇特な泥棒でもあった。
はじめは、王薄は旅をする金が無いから泥棒をする。
旅は彼にとって、自然に沸き起こる得体の知れない創作行動の一つだった。しかし、何年も旅を続けても何も見つけ出せなかった。
旅を続ければ続けるほど、何にも感動しなくなっていった。
王麗はそんな王薄を笑って言った。
「芸術なんて物は聖女のようなものだわ」
「あんたは汚れすぎている」
「だから見つけることが出来ないのよ」
王薄は、王麗の言葉を聞いて、舌打ちする以外に、言い返す言葉が見つからない。彼らが、この砂漠に来たのには理由があった。もう旅する場所が無かったのだ。
だが、ここの砂漠は彼らにとって貴重な体験となった。この小さな町に何ヶ月も滞在して、何回も砂漠の中に入っていった。砂嵐に出くわして命を落としそうにもなった。また、腹をすかしたオオカミに出くわして、襲われそうになった。
王麗は、怖い目に会ってから、すっかり怯えてしまい。王薄に、もう戻ろうと言う、王薄は、帰りたければ、あんただけ帰れと言って聞かない。
王麗は王薄と行動を共にするほかない、自分ひとりでは戻る事は出来ない。王薄は、この砂漠から強い衝撃を受けた。大砂漠は無味乾燥な砂の景色だ。
そこにはただただ砂の山があるばかりだ。すべすべした砂の山、何百キロ、何千キロも続く砂の山だけなのだ。
大きな砂の山の上に佇み、遥か彼方まで見渡すと、一つの砂山が、又一つ、又一つ砂山につながり、それがどこまでも折り重なって、果てしなく続いている。
砂漠は太陽に照らされ光輝いている。砂漠は果てしない大海原のようだ。
ある薄曇の日、砂漠は姿を変えた。砂漠に、霧が立ち込め、見え隠れする砂の山は、数千もの大軍のようだ。不気味な死の臭いが漂ってくる。
王薄の心が震えた。この砂漠に比べると、自分が今まで旅して、見てきたものは、ただ表面が綺麗だけの景色に思えた。
王薄は、この砂漠の言い知れぬ魅力に惹きつけられ、ひたすら前に向って進んで行く。息があがり喉が渇く、砂に足を取られ行く手を阻まれる。
彼にはわからない、こんな単調な砂漠がなぜ魂を揺さぶるのだ。
その答えは明らかだ、砂漠の全ての魅力は、その、かたくなさにあるのだ。頑固に自己を繰り返す。
吹き荒れる嵐や風が、砂の山を守り続けている。2人は数日後、砂漠から戻ってきた。2人は何日も何も話さない。
今まで、旅が終わると、2人はいつも、旅で見たしたことを面白おかしく笑って話した。
王薄は寡黙になった。そして、何かを悟ったように言った。
「おれは帰って絵をかくよ」王麗は、彼の意味することを飲み込んだ、
「私たちは、別れの時のようね!」彼らの新しい道が、ついに決まったかのようだった。
14話に続く
2005年正月に上映された中国の映画、名作「天下無賊」
<キャスト>
*主人公愚根、子供のように純真なままの男。
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)妖艶な色気が魅力。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメン男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)中国のおっさん、落ち着いた低音の声が印象的。
*泥棒カップルを追う謎の男。
「天下無賊 13話~イノセントワールド」自由訳
この2人が盗みをするのは、金をためるのが目的ではない。金が出来ると二人はすぐに使った。
NPO慈善事業に寄付もした。ある町のNPO慈善事業主は、彼らから1万元の寄付金をもらった。
送金人欄には星と月と書いてある。
このNPO慈善事業主は、新聞に載せて奇特な星と月を探そうとした。これを見た彼らは、俺たちも善人になったものだと笑い転げた。
2人が一番好きなものは旅だ。数年間で全国の山や大河をあまねく見て回った。彼らは泥棒だが、自然の山水を愛する奇特な泥棒でもあった。
はじめは、王薄は旅をする金が無いから泥棒をする。
旅は彼にとって、自然に沸き起こる得体の知れない創作行動の一つだった。しかし、何年も旅を続けても何も見つけ出せなかった。
旅を続ければ続けるほど、何にも感動しなくなっていった。
王麗はそんな王薄を笑って言った。
「芸術なんて物は聖女のようなものだわ」
「あんたは汚れすぎている」
「だから見つけることが出来ないのよ」
王薄は、王麗の言葉を聞いて、舌打ちする以外に、言い返す言葉が見つからない。彼らが、この砂漠に来たのには理由があった。もう旅する場所が無かったのだ。
だが、ここの砂漠は彼らにとって貴重な体験となった。この小さな町に何ヶ月も滞在して、何回も砂漠の中に入っていった。砂嵐に出くわして命を落としそうにもなった。また、腹をすかしたオオカミに出くわして、襲われそうになった。
王麗は、怖い目に会ってから、すっかり怯えてしまい。王薄に、もう戻ろうと言う、王薄は、帰りたければ、あんただけ帰れと言って聞かない。
王麗は王薄と行動を共にするほかない、自分ひとりでは戻る事は出来ない。王薄は、この砂漠から強い衝撃を受けた。大砂漠は無味乾燥な砂の景色だ。
そこにはただただ砂の山があるばかりだ。すべすべした砂の山、何百キロ、何千キロも続く砂の山だけなのだ。
大きな砂の山の上に佇み、遥か彼方まで見渡すと、一つの砂山が、又一つ、又一つ砂山につながり、それがどこまでも折り重なって、果てしなく続いている。
砂漠は太陽に照らされ光輝いている。砂漠は果てしない大海原のようだ。
ある薄曇の日、砂漠は姿を変えた。砂漠に、霧が立ち込め、見え隠れする砂の山は、数千もの大軍のようだ。不気味な死の臭いが漂ってくる。
王薄の心が震えた。この砂漠に比べると、自分が今まで旅して、見てきたものは、ただ表面が綺麗だけの景色に思えた。
王薄は、この砂漠の言い知れぬ魅力に惹きつけられ、ひたすら前に向って進んで行く。息があがり喉が渇く、砂に足を取られ行く手を阻まれる。
彼にはわからない、こんな単調な砂漠がなぜ魂を揺さぶるのだ。
その答えは明らかだ、砂漠の全ての魅力は、その、かたくなさにあるのだ。頑固に自己を繰り返す。
吹き荒れる嵐や風が、砂の山を守り続けている。2人は数日後、砂漠から戻ってきた。2人は何日も何も話さない。
今まで、旅が終わると、2人はいつも、旅で見たしたことを面白おかしく笑って話した。
王薄は寡黙になった。そして、何かを悟ったように言った。
「おれは帰って絵をかくよ」王麗は、彼の意味することを飲み込んだ、
「私たちは、別れの時のようね!」彼らの新しい道が、ついに決まったかのようだった。
14話に続く