天下無賊 大連より三話~イノセントワールド

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2005年中国で上映された正月映画「天下無賊」

<キャスト>
*泥棒カップルの女、王麗、台湾女優(リュウ ルゥイン)大人の色気が魅力的。
*泥棒カップルの男、王薄、香港のスーパースター(アンディロウ)イケメンの男優。
*窃盗団の親分、中国男優 葛優(グウヨウ)は中国のおっさん低音の声の響きがいい。
*愚根、純白な若い青年。
*泥棒カップルを追う刑事。


「天下無賊 三話~イノセントワールド」原文訳


今、愚根は故郷に帰ろうとしていた。愚根は故郷に帰りたがっている。


彼の村の工事人足を取りしきっている、ここの頭の副村長は、たいそうとっぴなことだと思った。


愚根は何も悩むことなく、ここで働いてきた。


他の者は、毎年冬になると家に帰ったが、今まで愚根だけは、そんなことは考えなかった。


所詮愚根には、気がかりな家族はいなかったのだ。


しかし去年の12月、同郷の村の者が帰郷した時、愚根の心はざわついた。


愚根は、副村長の袖を引っ張って、ぼそぼそと尋ねた。


「副村長、俺はいくつになった。」


副村長は、腕組みをして、不思議そうな顔で笑っていた。


「いくつになったって!」


「俺はあんたに、俺がいくつになったか聞いているんだよ」


副村長は面倒くさそうに、片付け物をしながら言った。


「そんなことを聞いて、どうするんだ」


愚根は、そこに突っ立ったまま動こうとしない、意固地な顔をしている。


副村長は仕方なく、「よしよし、俺が計算してやろう」と言って、指を折って数えた。


「お前がここへ来た時は、16だったな。」


「この工事現場に5年いたから、21になった筈だ。」愚根は孤児だ。


小さい時から、故郷の村人たちに育てられた。村人たちの家を、自分の家と思って育った。


それに村人の女たちの乳を吸って大きくなった。気にかけることなど何も無い。善悪を分別する必要も無く育った。


四話へ続く