列車は明け方駅に着く 大連より最終回

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(最終回)父さん、身体に気をつけてね。


「父さん! 父さん!」

「お、ミンミンか、お前、どうやって来たんだ。」

「一人で来たの、少年体育学校に来る道ぐらい、とっくに頭の中に入っているわ。」

「途中でいじめられなかったかい?」

「平気、世の中にはやっぱり、いい人の方がずっと多いもの。あのね、父さん、明日、盲学校で卒業式があるの、私、ピアノを演奏するの。父さん見に来てくれる?」

「ああ、いいとも。」


(・・・・ミンミンのすばらしいピアノの演奏が終わって・・・大きな拍手が起こる。)

「みなさん、ありがとうございます。今日、母校を離れるに当たって、私は誇りをもって、みなさんに、お話したいことがあります。
私には、世界で最高の、最高の父がいるんです。みなさんの拍手の半分は、父が受けるべきものなのです。
・・・父さん! 父さん! どこにいるの? ステージに上がって、私のそばに来て!
父さん! 

「・・・・ミンミン、父さんはここにいるよ。」

「父さん! 私を抱いて、しっかり抱いて。」

「ミンミン!・・・・・」

「・・・・父さん、大好き!」



(・・・・・回想が終わる)

「父さん、もうすぐ夜が明けるの?」

「うん。」

「父さん、今、何を考えているの?」

「お前の学校へ行って、卒業式に出席した時のことさ・・・」

「そう、あれは、私が父さんを招待したのよ、あの時は感動したわ。あれだけ大勢の人が、私たちに、あんなに長く拍手を送ってくれた。」

「ああ、私も、胸が熱くなったよ。・・・・ミンミン、お前、これからもピアノを弾くのかい?」

「弾くわ。自分一人で弾くだけじゃない、浜海市の盲学校の生徒たちにも教えるの。毎日、毎日、ずっと弾き続けるわ。」



車内のアナウンス(皆さん、おはようございます。この列車はまもなく浜海駅に着きます。浜海駅の到着時間は・・・・・・・。)



「ミンミン、盲学校に行ったら、先輩の先生がたをよく見習うんだよ。」

「はい。」

「わがままを言うんじゃないよ。」

「はい。」

「時々手紙をくれ、忘れないようにな。」

「ええ、・・・・父さん、列車に乗る時、テレビ局のおばさん、私の見送りに来てた?」

「ああ・・、来てたよ、彼女、離れたところから、ずっとお前を見ていたよ。」

「おばさんによろしくね。本当に私、おばさんに、ごめんなさいって、お詫びをする。夏休みに家に帰る時、おばさんが迎えにきてくれるといいな・・・・・。
・・・父さん、身体に気をつけてね。」

「あぁ。」