列車は明け方駅に着く 大連より七話
(第七話)青竜江鉄橋を渡ったら、
「ミンミン、聞こえるかい?列車は今青竜江大鉄橋を渡っているんだ。」
「ええ、聞こえるわ、長い橋ね、」
「夏休みの帰省の時、汽車がこの青竜江大鉄橋を渡ったら、あと3時間42分で、家に着くって覚えておくんだ。」
「分かったわ、父さん。」
「駅に迎えに、行くからな。」
「父さんたら、まだ、行き先に着かない内から、帰る時のことを考えるなんて。」
「そういうお前は、家に帰りたくないのかい、父さんはお前が、ホームシックにかかって泣きべそをかくんじゃないかと、心配だぞ。」
「父さんたら!」
ミンミン(モノローグ)
(そう、父さんの前では、何も隠し立てはできない。
私のような目の見えない娘にとって、父は荒波を避ける港のようなものだ。
私はその父を失うのを恐れた。
ほかの人と、父の愛を分かち合うことが出来なかった。
そのため、私は静かなこの港で、荒い波風を立てたことがある。
忘れもしないその日、私は盲学校のスクールバスに送られて帰ってきた。・・・雨が降っていた。)
小学校の先生優しい話し方「皆さん、百楽劇場に着きましたよ。ここで降りる人は足元に気をつけてね。
いい!・・さあ・・気をつけて・・気をつけて歩きなさい。」
「ミンちゃん、お父さん迎えに来たの?」
「まだ、来てないけど、きっと来るわ、父さんは何時も迎えにくるの、怠けたことは一度もないわ。」
友達のトントン「それはいいな、ぼくのママは、今日は用事があるんだって、
あ~あ、この雨じゃ、どうせすぐ帰れないから、しばらく君に付き合うよ・・・
・・・・・・、
ミンちゃん、たぶん君の父さんだよ。
あれ? 僕のママの足音みたいだ・・・・・。
そうだ・・そうだ・・。ママ・・僕のママだ、僕のママが迎えに来てくれたんだ。」
トントンのママ「あら、トントン・・さあ・・レインコートよ、早く着なさい。さあ、いきましょう。」
「ミンちゃん、僕、ママと一緒に帰る、君に付き合えない。じゃあまたね。」
「さよなら、」
ミンミン(モノローグ)
(私は一人ぼっちで停留所に立っていた。
突然、周りが、ひっそりとしているのに気がついた。冷たい雨が風と一緒に顔を叩きつける。
私は思わず心の底から身震いした。
父さんはなぜ迎えに来ないのだろう。
射撃チームを引率して試合に行ったのかしら。
でも、そんな事言ってなかった、病気なのかも、そうだ、父さんが出迎えを忘れるはずはない。
きっと、病気なのだ。
もしかしたら、今父さんはベッドに倒れたまま、起き上がれないのかもしれない。
・・・・そう思うと、私は、降りしきる雨の中を、手探りで、家の方へ向かって急いだ。
・・・・・・・・、
悪童A「ほら、目の見えない女の子が、こっちへ来るぞ。」
悪童B「どうして、大人が付いていないのかな。しかもずぶ濡れだ。」
悪童A[あの子を、ちょっとからかってみるか、お前、空き缶をあの子の前に置いて来い」
悪童C「よし、まかせとき、」
悪童A「へっ、へぇ。あの子真っ直ぐ歩けないぞ、」
悪童たち「もう一度やれよ」
ミンミン「あんたたち、目の見えない子をいじめて、恥ずかしくないの!」
悪童A「あいつ、俺たちをばかにしたな! みんなで、やっつけてやろう、」
悪童B「そうだ、石や生ゴミを、あいつの前に置いてやろう!」
ミンミン「いやぁ~!」
悪童A「怪我したぞ、血が出ている。」
悪童たち「わぁ~い、早く逃げろ、逃げるんだ!」
(第八話に続く)
「ミンミン、聞こえるかい?列車は今青竜江大鉄橋を渡っているんだ。」
「ええ、聞こえるわ、長い橋ね、」
「夏休みの帰省の時、汽車がこの青竜江大鉄橋を渡ったら、あと3時間42分で、家に着くって覚えておくんだ。」
「分かったわ、父さん。」
「駅に迎えに、行くからな。」
「父さんたら、まだ、行き先に着かない内から、帰る時のことを考えるなんて。」
「そういうお前は、家に帰りたくないのかい、父さんはお前が、ホームシックにかかって泣きべそをかくんじゃないかと、心配だぞ。」
「父さんたら!」
ミンミン(モノローグ)
(そう、父さんの前では、何も隠し立てはできない。
私のような目の見えない娘にとって、父は荒波を避ける港のようなものだ。
私はその父を失うのを恐れた。
ほかの人と、父の愛を分かち合うことが出来なかった。
そのため、私は静かなこの港で、荒い波風を立てたことがある。
忘れもしないその日、私は盲学校のスクールバスに送られて帰ってきた。・・・雨が降っていた。)
小学校の先生優しい話し方「皆さん、百楽劇場に着きましたよ。ここで降りる人は足元に気をつけてね。
いい!・・さあ・・気をつけて・・気をつけて歩きなさい。」
「ミンちゃん、お父さん迎えに来たの?」
「まだ、来てないけど、きっと来るわ、父さんは何時も迎えにくるの、怠けたことは一度もないわ。」
友達のトントン「それはいいな、ぼくのママは、今日は用事があるんだって、
あ~あ、この雨じゃ、どうせすぐ帰れないから、しばらく君に付き合うよ・・・
・・・・・・、
ミンちゃん、たぶん君の父さんだよ。
あれ? 僕のママの足音みたいだ・・・・・。
そうだ・・そうだ・・。ママ・・僕のママだ、僕のママが迎えに来てくれたんだ。」
トントンのママ「あら、トントン・・さあ・・レインコートよ、早く着なさい。さあ、いきましょう。」
「ミンちゃん、僕、ママと一緒に帰る、君に付き合えない。じゃあまたね。」
「さよなら、」
ミンミン(モノローグ)
(私は一人ぼっちで停留所に立っていた。
突然、周りが、ひっそりとしているのに気がついた。冷たい雨が風と一緒に顔を叩きつける。
私は思わず心の底から身震いした。
父さんはなぜ迎えに来ないのだろう。
射撃チームを引率して試合に行ったのかしら。
でも、そんな事言ってなかった、病気なのかも、そうだ、父さんが出迎えを忘れるはずはない。
きっと、病気なのだ。
もしかしたら、今父さんはベッドに倒れたまま、起き上がれないのかもしれない。
・・・・そう思うと、私は、降りしきる雨の中を、手探りで、家の方へ向かって急いだ。
・・・・・・・・、
悪童A「ほら、目の見えない女の子が、こっちへ来るぞ。」
悪童B「どうして、大人が付いていないのかな。しかもずぶ濡れだ。」
悪童A[あの子を、ちょっとからかってみるか、お前、空き缶をあの子の前に置いて来い」
悪童C「よし、まかせとき、」
悪童A「へっ、へぇ。あの子真っ直ぐ歩けないぞ、」
悪童たち「もう一度やれよ」
ミンミン「あんたたち、目の見えない子をいじめて、恥ずかしくないの!」
悪童A「あいつ、俺たちをばかにしたな! みんなで、やっつけてやろう、」
悪童B「そうだ、石や生ゴミを、あいつの前に置いてやろう!」
ミンミン「いやぁ~!」
悪童A「怪我したぞ、血が出ている。」
悪童たち「わぁ~い、早く逃げろ、逃げるんだ!」
(第八話に続く)