列車は明け方駅に着く 大連より五話
(第五話)耳を澄ませてごらん。
盲学校の先生「皆さん、ひとり、ひとり、ぴったり後について、足元のジャリ道を、ゆっくり進んでね。そう、気をつけて、・・・。
今、皆さんの左手には緑の、竹林が広がっています。皆さん、耳を澄ませてごらんなさい、風です。
風が竹林の中から軽やかに吹いています。感じましたか。」
生徒「本当だ、風が内緒話をしているよ、・・きこえました。」
ミンミン「風で、お洋服がまくれ上がったわ、風が服の中まで入ってくるの。」
教師「そうなの、」
生徒「先生、風はこんなものじゃない、風は狼みたいにウォー、ウォーって吠えるんです。」
教師「それは、冬の北風よ。今の風はね、竹林の中を通ってくる、穏やかな春の風なの。皆さん、道の曲がり角に大きな木があります。みんなでさわってみましょう。
生徒「ちょっと、さわらせて。」
生徒「先生、これなんの木ですか。」
ミンミン「私、知っているわ、これはいちょうの木よ。」
教師「その通りよ、ミンちゃんは本当に賢いわね。いちょうの木は、銀杏とも言います。」
生徒「銀杏って、食べたことある。とても香りがいいの。」
生徒「母さんが言っていたけど、銀杏は薬にするんだって。」
教師「皆さんが言っているのは、みんな合っています。銀杏は、食べられるだけではなくて、薬にもします。さあ、みなさん、こっちに来て。気をつけてね。」
生徒「先生、今度は何するの、」
教師「みなさん、道の右側には、沢山の桃の木が植えられています。桃の花が満開です。みなさん、香りが分かりますか。」
生徒「ウーン、ほんの少し分かります。」
ミンミン「先生、桃の花はどんな色ですか。」
教師「桃の花は、赤色ですよ。」
ミンミン「あ、それじゃ、きっと綺麗ね。私、赤色が大好き。先生、見て、桃の花と私のお洋服とは、同じ色よ。」
教師「いいえ、あなたの服の色は、桃の花の色とは違いますよ。」
ミンミン「どうして、違っているの?」
教師「そう。あなたの服の色は、薄い紫色、とても綺麗ですよ。クリーム色のスラックスがお洋服を引き立ています、スラックスとよく似合って、とても生き生きとしています。
生徒「先生、私のお洋服きれい?」
教師「きれいですよ。」
生徒「私のも見て。」
教師「綺麗ですよ。みんなとても素敵ですよ。まるで春の様に素敵ですよ。・・・
・・あれ、ミンちゃんは?・・ミンちゃん、ミンちゃん一人でどこへ行くの?
楽しくないの?」
ミンミン「私もう遊びたくないの、帰るの。」
教師「どうしたの?先生がいやなこと言ったかしら?」
ミンミン「そうじゃないの。」
教師「ここが、面白くないの?」
ミンミン「そうじゃないの。」
教師「ピクニックは、まだ終わってないのよ。みんなに悪いじゃない!
さあ、戻りましょう、ミンちゃん、みんなが待っているわ。」
ミンミン「いや、今すぐ帰りたいの。」
教師「そう。それじゃ、お家まで送ってあげましょう。」
ミンミン「お家じゃない、少年体育学校(父の勤め先)の父さんの所に行くの。」
(第六話に続く)
盲学校の先生「皆さん、ひとり、ひとり、ぴったり後について、足元のジャリ道を、ゆっくり進んでね。そう、気をつけて、・・・。
今、皆さんの左手には緑の、竹林が広がっています。皆さん、耳を澄ませてごらんなさい、風です。
風が竹林の中から軽やかに吹いています。感じましたか。」
生徒「本当だ、風が内緒話をしているよ、・・きこえました。」
ミンミン「風で、お洋服がまくれ上がったわ、風が服の中まで入ってくるの。」
教師「そうなの、」
生徒「先生、風はこんなものじゃない、風は狼みたいにウォー、ウォーって吠えるんです。」
教師「それは、冬の北風よ。今の風はね、竹林の中を通ってくる、穏やかな春の風なの。皆さん、道の曲がり角に大きな木があります。みんなでさわってみましょう。
生徒「ちょっと、さわらせて。」
生徒「先生、これなんの木ですか。」
ミンミン「私、知っているわ、これはいちょうの木よ。」
教師「その通りよ、ミンちゃんは本当に賢いわね。いちょうの木は、銀杏とも言います。」
生徒「銀杏って、食べたことある。とても香りがいいの。」
生徒「母さんが言っていたけど、銀杏は薬にするんだって。」
教師「皆さんが言っているのは、みんな合っています。銀杏は、食べられるだけではなくて、薬にもします。さあ、みなさん、こっちに来て。気をつけてね。」
生徒「先生、今度は何するの、」
教師「みなさん、道の右側には、沢山の桃の木が植えられています。桃の花が満開です。みなさん、香りが分かりますか。」
生徒「ウーン、ほんの少し分かります。」
ミンミン「先生、桃の花はどんな色ですか。」
教師「桃の花は、赤色ですよ。」
ミンミン「あ、それじゃ、きっと綺麗ね。私、赤色が大好き。先生、見て、桃の花と私のお洋服とは、同じ色よ。」
教師「いいえ、あなたの服の色は、桃の花の色とは違いますよ。」
ミンミン「どうして、違っているの?」
教師「そう。あなたの服の色は、薄い紫色、とても綺麗ですよ。クリーム色のスラックスがお洋服を引き立ています、スラックスとよく似合って、とても生き生きとしています。
生徒「先生、私のお洋服きれい?」
教師「きれいですよ。」
生徒「私のも見て。」
教師「綺麗ですよ。みんなとても素敵ですよ。まるで春の様に素敵ですよ。・・・
・・あれ、ミンちゃんは?・・ミンちゃん、ミンちゃん一人でどこへ行くの?
楽しくないの?」
ミンミン「私もう遊びたくないの、帰るの。」
教師「どうしたの?先生がいやなこと言ったかしら?」
ミンミン「そうじゃないの。」
教師「ここが、面白くないの?」
ミンミン「そうじゃないの。」
教師「ピクニックは、まだ終わってないのよ。みんなに悪いじゃない!
さあ、戻りましょう、ミンちゃん、みんなが待っているわ。」
ミンミン「いや、今すぐ帰りたいの。」
教師「そう。それじゃ、お家まで送ってあげましょう。」
ミンミン「お家じゃない、少年体育学校(父の勤め先)の父さんの所に行くの。」
(第六話に続く)