列車は明け方駅に着く 大連より二話

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(第二話)早く雪合戦しょう!


「お父さん、早く雪合戦しょう!早くおいでよ。」

「よ~し。それ行くぞ!流れ弾だ。ウー・・・」

「だめ、だめ。お父さんずるい!あたし、まだ隠れてないよ。」

「お父さんの何処がずるいんだ。ミンミン、もういいかい?」

「もういいよ」

「よ~し、いくぞ、発射するぞ」

「発射」

「命中したぞ、命中したぞ、おい!どこへ逃げようっていうんだ。もう逃げ場はないぞ、降参すれば助けるぞ!・・・・」 

・・・・・。

「ワァー、花びらを撒く天女だ・・!」

「もういい、もういい、木を揺さぶるのは止めなさい。父さんの襟に雪が入って、冷たくてたまらん。」

「お父さん見て、あれ、梅の花?赤くて本当に綺麗。」

「あれ、お前の手も真っ赤じゃないか。凍えて人参みたいだぞ。さあ、父さんがさすってあげよう・・。どう?少しは暖かくなったかな。」

「うん・・」

遠くから「杜コーチ~・・、病院からすぐ来てくださいって、お電話です。」

「分かった・・。すぐ行く・・。」


(病院にて・・。)
「黄先生、検査の結果はどうでしたか。」

女医「まぁ、早くお入りなさい。ストーブに当たって暖まって下さい・・。」

「最近、娘の視力がどんどん落ちて行くので心配なんです。」

女医「あぁ・・、ちょっと休んで、お茶でもどうぞ・・。」

「生まれた時から、猫目石の様な目でしたが、はじめは気にも留めなかったんです。」

女医「今日の雪は、すごいですね・・・・。」

「ん・・。はあ。・・・・。黄先生、娘の病気は、とても重い様ですね?」

女医「確かに、重症です。」

「・・と言うと、入院ですか。」

女医「手術が必要です。」

「黄先生、娘の目を治すためなら、どんな要求でも応じます。」

女医「それどころではないのです。お話するのがつらいのですが・・、専門家たちの精密な立会い診査の結果、娘さんの病気は、網膜芽細胞腫です。」

「何・・、 ・・それは癌ですか。」

女医「ええ。娘さんは将来失明します。これはどうしようもないのです。出来るだけ早く、目を摘出しなければ、命にかかわります。」

「・・・・先生、何を言っているんですか。」

女医「発病率は、何十万の一なのですが、それがなんと、娘さんに起こってしまうなんて、本当に残酷なことです・・・・・・。」

「まさか、それは本当のことなんですか・・・・・まさか・・まさか・・そんなことあり得ない。・・・・・」

女医「癌細胞の転移を未然に防ぐためには、出来るだけ早く手術すべきです。」

「ぁああ先生・・何とかしてください・・お願いです・・娘はやっと六歳になったばかりです・・・・・・娘の目がなくなるなんて・・娘の目がなくなるなんて・・ああぁ・・・・・」

女医「・・・・杜コーチ、杜コーチしっかりしてください・・。」

(第三話に続く)