天下に泥棒はいない!大連より

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2005年中国で上映された正月映画「天下無賊」、原作者は趙本夫でこの映画で彼は瞬く間に脚光を浴びました、映画も面白いが!原作は更に素晴らしい。

<あらすじ>

孤児で主人公の愚根が、出稼ぎ先で5年間働いて稼いだ大金を待って生まれ故郷まで持ち帰るお話。

中国の農村で生まれた主人公は、泥棒というものを知らない、主人公は皆がお金を持ち帰るのは泥棒にとられるから郵送するように勧めるが、牛1頭が買える手数料を出してまで郵送するのは馬鹿げてると言ってかたくなに持って帰ると意地をはる。

心配した副村長は使いの者を駅まで送らせたが、使いの者に子供あつかいされたと思った主人公は腹を立て、駅のホームで列車を待っている大勢の乗客の前で「泥棒なんているものか!いたら手を上げてみろ!」と大声をあげる。

ホームで列車を待っていた乗客の中には男女の泥棒カップルいた。そんな主人公を見ていた。

男女の泥棒は、自己啓発の旅をしながら盗みをして旅先で見たすばらしい風景を楽しんでいたが、今回訪れた何処までも続く大砂漠の頑なさに、今まで見てきたどんな美しい風景よりも言い知れぬ感動受けていた。

その砂漠の頑なさと、愚直なまで泥棒などいないと信じる愚根の頑なさに、同じものを感じた男女の泥棒は世の中に泥棒はいないという気持ちを信じさせてあげようと、故郷までの道のりを泥棒から守ることを誓う。しかし男女の泥棒には危機が迫っていた。



中国感動小説「この世に悪人はいない」

列車がきた、愚根は人ごみに押されながら列車に乗りこんだ、弱虫で臆病な仲間と別れて気分はことのほか素晴らしくいい。

列車の中は外とは違って、以外にも人が少ない、乗客は10数人ほどしかいない、それぞれが自分の好きな席に座ることがでる。

愚根は窓際の席に腰を下ろした、愚根の席の前には、顔に大きな切り傷のある、目つきの鋭い男が座った。

このとき一組の男女がやってきた。男は30前後で、背が高く、賢そうでたくましい身体つきだ。女の方は、26,7歳くらいの綺麗で魅力的な女性だ。

見たところ夫婦のようだ、女は親しそうに笑いながら愚根のそばに座り、男は、目つきの悪い男のそばに座った。

愚根は女から漂ういい香りで、気分が落ち着かない、列車はゆっくりと駅を離れた、愚根は子供のようにどきどきしながらなぜだか分からないが嬉しくなってきた。

愚根は孤児で、頭が弱い、16歳になったばかりの時、中国のある農村から村人と一緒に炭鉱の町に出稼ぎにやってきた。今では、もう21歳になっていた。

愚根は、生まれた村に帰りたいと思っていた。


村から愚根と一緒にやって来た村人数十人は、毎年冬になると村に帰り、家族と一緒に正月を過ごす。

みんな一年間稼いだ金を持って帰り、女房や子供、親の顔を見に帰る。村で2ヶ月の休みを過ごして又出稼ぎに出る。

しかし、愚根は今まで村に帰ったことがない。村までは数千里ある、しかも帰って何をするというのだ。

愚根はたった一人で資材置き場に住んでいる、レンガや木材、鉄骨などが、広い空き地にうず高く積まれている、愚根はこの資材置き場で仕事をしている。

愚根は夜になると、何回も見回りをする、左手に懐中電灯を握り締め、右手に棍棒を持って暗闇を手探りで見て回る、棍棒はオオカミに備えてだ。

ここは、数百里もある、砂漠の真ん中だ、あたりには民家はない、愚根たち村人たちは炭鉱が見つかったこの土地に炭工夫たちの住宅を作りにやって来たのだ。